勝つ事ばかり知りて、負くること知らざれば害その身にいたる(徳川家康)

「勝つ事ばかり知りて、負くること知らざれば害その身にいたる」徳川家康

勝ってばかりで、負けることがないと何も教訓を得られない。そのまま運よく勝ち続けられても油断したり傲慢になってしまう。そんな時に弱点が露呈したら、とたんに大失敗をすることになる。だから負けは悪いことではなく、気を引き締め教訓を得るために必要なことだ。という意味です。

この格言には2つの意味があると考えます。勝つ負けるだと武士感が強いので「うまくいく」「うまくいかない」でここから下は書いていきます。

  • 失敗こそが人を成長させる

うまくいかなかったからこそ分析し自分の弱点を知り克服するようにできる

  • 好事魔多し

うまくいっている時ほどなにか失敗のもとになることが潜んでいたり、よくないことが起こることが多い

家康も負け戦がなかったわけではありません。三方ヶ原の戦いでは武田信玄にコテンパンにやられました。本能寺の変が起こった直後は京都から自分の領国に命を狙われていたもののどうにか帰るといった命の危機もありました。小牧・長久手の戦いでは秀吉に対して優位に戦を進めましたが講和で失敗してしまいました。

家康はそこから学ぶようにしました。武田式の軍規や編制を取り入れました。また京都で何か起きたときのために天下人になってから江戸から京都までの道のりは身内に統治させるようにしました。戦だけではなく政治的な駆け引きもしていくようになりました。

こうした経緯があるからこそ、狸親父と呼ばれるほどの老獪さを身に着けることが出来たのだと思います。ではこれを現代に当てはめてみます。

仕事がうまくいったのは大変素晴らしいことですが、なにかほつれはないか確認しなければいけません。いままで大丈夫だったからこれからも大丈夫だろうという考えが一番危険です。

私はSEなので、なにかテストでやり忘れているものはないかであったり、仕様を顧客にしつこいくらいに確認したかどうかとか、油断せずに自分のやっている事や成果物を疑うようにしています。まぁそれでも失敗するときは失敗します。

ただ、その失敗からなぜ失敗したかを学べればおおきな財産になります。

失敗の一つに工数の見積がありました。できるできると思い込んで甘く見積もったらだめだったことがあります。考えていたより数倍難しい仕事だったため、結果として工数を3倍オーバーしてしまったのです。

取り戻すためにお盆休みを返上したり残業したりしてどうにかやり切りましたが、申し訳ないことをしてしまいました。幸い顧客の担当者様が心の広い方々だったためなんとか挽回することが出来ました。

これにより、見積もりの客観的な根拠を明確に出すことの大切さを学びました。今もこの仕事は続けていますが何事にも明確な根拠がある状態で進めるようにしています。

このように、成功し続けていたら見積の根拠を出す重要性を知ることはありませんでした。失敗したことにより気を引き締め、再発防止のために成長することが出来ました。

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