「民を以て本となす」に学ぶ顧客第一の本質|水戸光圀の教えを現代ビジネスに活かす方法
ビジネスや仕事を続けていると、「売上を伸ばしたい」「成果を出したい」と数字ばかりを追いかけてしまう瞬間があります。私自身もそうでした。しかし、ある江戸時代の偉人の格言に立ち返ったことで、仕事の向き合い方が大きく変わりました。
今回取り上げるのは、江戸時代の名君・水戸黄門として知られる水戸光圀の言葉です。
「民を以て本となす」とは誰の言葉か
「民を以て本となす」は、江戸時代前期の大名であり学者でもあった水戸光圀の言葉です。光圀は水戸藩第2代藩主として、学問の振興や政治改革に尽力しました。
この言葉の出典は『光圀言行録』です。意味は「政治や組織運営の根本は民にある」「民を大切にしなければ国も組織も成り立たない」というものです。
この考え方は、現代に置き換えると顧客第一の精神そのものだと感じています。
現代に通じる「顧客第一」の本質
現代のビジネスでは「顧客満足度」「カスタマーファースト」という言葉が頻繁に使われます。しかし、実際には売る側の都合が優先されてしまう場面も少なくありません。
私自身、以前は「こちらの都合で決めたサービス内容を、どうやって理解してもらうか」ばかりを考えていました。その結果、説明は丁寧でも、相手の反応はどこか冷たいままでした。
そんな時にこの「民を以て本となす」という言葉を知り、「相手を本当に中心に置けているだろうか」と自問するようになりました。
筆者自身の体験談|視点を変えたことで起きた変化
ある時、リピーターがなかなか増えないことに悩んでいました。原因を分析すると、こちらが提供したい内容ばかりを詰め込み、顧客の困りごとを深く聞けていなかったのです。
そこで私は一度立ち止まり、提案前に「何に一番困っていますか」「それが解決したらどうなりたいですか」と質問する時間を意識的に増やしました。
すると、不思議なことに成約率が上がっただけでなく、「相談してよかった」「話を聞いてもらえた」という声をいただけるようになりました。まさに相手を本に据えた結果だと感じています。
「民を以て本となす」を実践する具体的な手順
この格言を現代で活かすために、私が実践している手順を紹介します。
① 自分の都合を一度脇に置く
売りたい商品、通したい企画をいったん横に置きます。「自分は何をしたいか」ではなく「相手は何に困っているか」を考える準備段階です。
② 相手の声を言葉ごと受け取る
表面的な要望だけでなく、背景や感情まで聞くことを意識します。途中で結論を急がず、最後まで話を遮らないことが重要です。
③ 相手の利益を基準に判断する
自社にとって有利でも、相手にとって不利益になる提案は見送ります。短期的な利益よりも、長期的な信頼を優先します。
④ 行動に反映し、改善を続ける
聞いた内容をサービスや対応に反映し、結果を振り返ります。この繰り返しが「顧客第一」を形だけでなく本質にします。
実践することでどう良くなるのか|具体例
この手順を意識するようになってから、クレームが減り、紹介での問い合わせが増えました。理由は明確で、「この人は自分のことを考えてくれる」という信頼が生まれたからです。
数字を追わなくても、結果的に数字がついてくる。この好循環は、「民を以て本となす」を実践したからこそ得られたものだと感じています。
応用編|さらに信頼を深めるための工夫
応用としておすすめなのは、「相手の成功を一緒に喜ぶ姿勢」を見せることです。契約後や購入後も状況を気にかけ、成果が出たら一緒に喜びます。
これは売り切り型の関係から、伴走型の関係へと進化させる方法です。光圀が民を思い続けたように、顧客との関係も一過性で終わらせないことが重要です。
まとめ|民を本にする姿勢が長く続く仕事をつくる
「民を以て本となす」は、単なる歴史の言葉ではありません。現代のビジネスや働き方にこそ必要な考え方です。
顧客を数字ではなく「人」として見ること。その姿勢が信頼を生み、結果として自分自身も支えられる存在になります。水戸光圀の教えを、ぜひ日々の仕事に活かしてみてください。

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